【グノーシア評価・感想】ループ×人狼=ローグライトアドベンチャーな名作インディータイトル

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ゲーム×ループの相性のよさと人狼ゲーム

僕は常々、ループものとゲームの相性の良さを公言している。というのも、セーブとロードというシステムそれ自体がループといっても差し支えないだろうし、当然、セーブ前の記憶を引き継いでプレイすることになる。何度もコンティニューするようなゲームでもそうだし、要するに”記憶”を引き継いだ状態で、ゲーム体験自体がそもそも擬似的なループ体験だといっても過言ではないのかもしれない(初見ノーコンティニュークリアはループとは言えないかもしれないけど)。

本作『グノーシア』は、そうしたゲームとループものの相性の良さを活かした作品というだけではなく、そこにさらに人狼ゲームの要素を取り入れた。リアルで行われる人狼ゲームは、キャラクターがどんどんと退場していく。ループ要素がないゲームだと、退場したキャラはそれっきりになってしまうだろう。もちろん、これはゲーム性次第だけど、細かい点は今は触れないでおく。

『グノーシア』は、ゲームというそもそもループものの構造それ自体と非常に相性がいい媒体を土台に構築し、そこに人狼ゲームという、これまたループに都合がいい素材を混ぜ込んだ豪華なゲームだと言って良いかもしれない。さしずめカツカレーのようなものだ。

しかし、けれども、カツカレーはたしかに美味しい。美味しいが、とんかつとカレー。それぞれがそれぞれだけで十分に食卓を彩ることができる、いや、この場合はできてしまう、といっていいのかもしれない。そのせいで、胃もたれしてしまうことがあった。

ゲームを始めたてのさしずめ若いころは夢中になってプレイをするんだけれども、クリアが近づく、年を重ねていくと、どちらか一方だけでも十分満足できるようになってしまう。

もちろん、『グノーシア』がカツカレーだという事実は変わらない。しかし、だからこそ惜しいと思わせる作品であったのも、僕にとって紛れもない事実であった。

1プレイの短さが熱中を加速させる

さて、最初に述べたように、本作『グノーシア』は人狼ゲームとループものをかけ合わせたゲームだ。人狼ゲームとは、村人を襲う人狼を会話によって見つけ出し、排除することを目的とする村人側、そして村人を全員襲って排除することを目的とする人狼側に別れて遊ぶゲームだ。起源を遡ると1930年ごろまで行くらしいが、本旨ではないので興味がある方は自分で調べて見てほしい。

本作は一般的に人狼ゲームと呼ばれるものにSF要素をかけあわせて誕生した作品だ。そして、はっきり言ってしまうと、この説明では興味を持てる人はそれほどいないのではないだろうか。実際、僕は人狼を遊んだことがなかったため、SF人狼ゲーだよ、と言われてもイマイチピンとこなかったし、それが理由でプレイするのも躊躇っていた。

そもそもからして、人狼をCPUと遊んで楽しいのだろうか。そんな疑問が浮かぶだろう。なにしろ、僕の拙い知識でも人狼は騙し合いだという程度のことは知っていた。だから、人狼ゲーとはいったって……というのが先行していたが、ロー~ミドルプライス程度なのでそれほど意気込む必要もないだろうと遊べるタイミングでの購入と相成った。

小気味いいテンポで進んでいく

では実際にプレイしてみてどうだったか。これがまぁ面白い。特に初日にプレイしたときにはやめ時を失ってしまい、翌日も仕事だというのにとうとう朝の4時までプレイしてしまった。

これにはいくつか簡単な理由が思いつく。まず、1ゲームごとに区切られている。これがとにかく厄介なのだ。『グノーシア』に限らず、こうした1試合制のようなものだったり、あるいはターン制のものをプレイしていると、ついつい次で終わろう、次で終わろう、ということを永遠に繰り返してしまう経験はないだろうか。僕はまんまと見えている罠にはまってしまい(自分から踏んだとも言える)、やめ時がわからないほどプレイしてしまった。

そしてもう一つ、おそらくこれが最も大きいのだと思うが、僕が人狼ゲームをほとんど知らなかったことが最たる理由だろう。ゲームを最初プレイしていて、どういう行動・発言を取るのがいいのか手探りでプレイしていたため、なるほどこういう風に動けばいいのか、という経験を積むことができた。

トライ&エラーを繰り返し、徐々に上達していくと、なんとなく誰がグノーシア(人狼)で、誰が人なのかの当たりをつけるようになっていた。もちろん、してやられることもあるが、それはそれで後で行動を見返すとなるほどな、と納得してしまう。

この納得してしまう、というのはなにかと言えば、本作『グノーシア』に登場するキャラクターは様々だが、僕は非常にチョロいことこの上ないので、物語冒頭でよくしてもらったセツのことは疑いたくないし、ジナやSQはついつい最初に除外してしまう。本作において誰かを疑わないというのは悪手でしかなく、確実にわかる自分以外はおしなべて疑わなければならない。

”負けやすい”、要するに人狼が弱いキャラクターも個性の一つだったりする

とはいえのべつまくなく疑えばいいというものでもないのが本作の上手なところ。それぞれのキャラクターには性格・傾向があり、それを頼りにすることで信頼できる味方は誰か、あるいはこいつは常に疑う必要がある、などがわかるのだ。この情報もループをすることによって得られる経験なので、純粋に自身のスキルが上昇するということと、ループによってキャラクターを知ることができるのはよく噛み合っている。

愛着が湧くキャラクター

ただし、一方でこのキャラクターを良く知っていくというのには罠が潜んでいる。『グノーシア』は最初に性別を決められる(男・女・汎)のだが、それらの性別に応じて特定のキャラクターとねんごろになることができる。いや、できてしまうのだ。

これのおかげで?ついつい感情移入してしまった相手に対しては次回以降強く疑うことができなくなってしまうのが人情というもの。それに加えて、最初に述べたように、セツを相手にしてもどうしても強くでづらくなってしまう。物語の最初で仲良くしてくれたり、今回は仲良くないよと言われても、でもセツだしな……となってしまって怪しいことをしてもついかばってしまった。

誰かを疑わなければならない・騙さなければならない人狼ゲームと、なまじ記憶を持っているせいで疑いたくなくなってしまうというこの微妙な感覚は、ゲーム・ループ・人狼ゲームそれぞれの個性が活かされているといっていい。これこそまさにカツカレーたる所以だろう。

最初は新鮮だが、同じセリフを多く使いまわしている

しかし、ゲームを続けていくにつれて、実際に取れる選択肢の少なさに気がついていく。これは僕自身が人狼ゲームにまるっきり耐性がなかったからゲーム部分を最初は楽しめていたのかもしれないけれど、人狼に慣れている人は、人狼っていうほど人狼できてないのでは?と思っていたのかもしれない。事実、そうした感想を見かけもした。

開発陣が言うローグライトアドベンチャーと飽きる体験

そして恐らく、この感想は正しい。というのも、制作者自身、本作を人狼ゲームではなく、ローグライトアドベンチャーとして捉えているのだそう。ローグライトの細かい定義はともかくとして、ここではランダム性、というくらいにしておきたい。細かいインタビューに関しては、もしゲームをプレイし終わってこの感想を見ている人で、かつグノーシアを少しでも気に入ったなら、電ファミニコゲーマーさんのインタビューは必読といっていい。リンクを貼っておくので、もしよければ目を通しておいてください。

さて、ここで冒頭で述べたものが丸々ひっくり返る。というのも、本作はループものと人狼ゲームの相性のよさがもたらした作品だという認識。しかし、人狼ゲーム風というべきか、人狼ゲームというよりかは、ローグライク的な要素のほうがより強く感じてくるわけで、そして悲しいかな、僕はローグライクにそれほどハマれない人種であったのだ。

中盤移行、ゲーム面はイベントを発生させるための”手段”にのみ成り果ててしまい、ゲーム自体を”楽しむ”という部分がまるっきりなくなってしまった。そもそも僕は、RPGでもレベル上げをしないでガンガン進んでいきたいタイプなので、致命的に相性が悪かった。中にはレベル上げとか、そういった作業部分が好きな人もいるのは知っているが、これはあくまで僕自身の嗜好だと捉えてほしい。

『グノーシア』の最大の魅力はキャラにあると思う。だから、イベントがスムーズに見れないと、キャラに付属しているストーリー部分が見れないので、そこがネックとなってしまい、あー、今回のゲームは条件満たせなかったから消化試合じゃん、みたいになってしまう。これが胃もたれした部分、というので伝えたかったことだ。

というのも、イベントもかなり数が豊富だし、たしかにイベントができるようにしてくれるイベントサーチという機能もある。ただ、このイベントサーチという機能を使っても必ずイベントが発生するわけではない。そのことがより胃もたれを加速させてしまった。

そもそもがループ体験であるゲームという媒体に、人狼ゲームを組み込み、登場人物が全員蘇っていても全く違和感のない状況に仕立てあげて、1プレイも短く遊べて、何度も体感できるアドベンチャーを楽しんでいたのに、ゲーム部分がシナリオを見るためだけの手段に成り果ててしまったとき、自分の中から最初のころにあった気持ちは消えてしまった。

ただ、それでも、本作は最後までやってよかったと思えた作品でもあった。それは紛れもなく『グノーシア』という作品の底力であることは間違いない。僕自身はゲームでしかできない表現方法は好きだから、本作はできれば手に取ってほしい作品になった。もう一つ付け加えておくと、先程飽きてしまった、ということを書いた。しかしこれは制作側も意図していたことであったようで、あぁそうか、とそのことを読んだ時ひどく合点がいったのだ。

超絶ネタバレ文章あり。未プレイの方、クリアしてから読んでネ

本当はネタバレ書くつもりがなかったけど、この”飽きる”という体験そのものもデザインされていたと知ったとき、心のそこからセツを救えてよかったと感じられた。もちろん、ゲーム中にそれは当然感じている。ただ、この飽き自体が、セツを永遠に、ループって飽きるよね、という空間に閉じ込めてしまいたくもない、という気持ちも含めて、もちろん自分を助けてくれたということもあるけれど、制作側にしてやられた、という感覚になった。

が、それはそれとして、ゲーム体験としてはうーんと首をひねる部分もなくはない。なくはないが、ランダム性の高い、制作者自らがローグライトアドベンチャーと言っている作品が、いや、だからこそなのかもしれない。隅々まで考えられているからこそ、ランダム性という名のもと、素晴らしい作品になったことは紛れもない事実であろう。

本当はもう少しだけ語りたいんだけれども、これ以上はゲーム未プレイの人もいるはずだから、ぎゅっと口を固く結んでおく。もし一人でもこの感想を読んで『グノーシア』をプレイする決心がついが人がいたのだとしたら、これ以上は蛇足となってしまう。

騙し、騙され、疑って、疑われて。だけど、この作品の根幹の魅力はキャラクターだ。前回のループで味方になってくれたり、それこそ特記事項(イベントのこと)が埋まってキャラクターの深掘りができたり。そうして最後に訪れる結末は、きっと誰にとってもやってよかったと思わせてくれる力があると思う。

ここまで読んでくれた方、騙されたと思って本作をポチっとしてください。僕がグノーシアじゃないとも限りませんけどね。

【参考サイト】
電ファミニコゲーマー6000回ものテストプレイが傑作人狼ゲーム『グノーシア』を産んだ!「汎用テキストの再利用」によって誕生した、「本当に1000回遊べる推理ゲーム」の作り方とは.https://news.denfaminicogamer.jp/interview/211119a

発売日2019年6月20日
開発プチデポット
ジャンルSF人狼系シミュレーションアドベンチャーRPG
公式サイトhttp://d-mebius.com/gnosias/

Steam
Switch

※PS、Xboxは12月に発売予定です。PLAYISMの公式サイトリンクはこちら

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