始まりの主について
敵側が呼び出したい対象が始まりの主?
さて始まりの主の正体についてですが、これはちょっと難しいです。というのも、「始まりの主が汝を再創せん」というのは、敵側の目指す対象が始まりの主なのか、それとも”汝”なのか。
どうやらブリンガーと敵の女(名前忘れた)とは同じ階級にありながらちょっと違う目的なような感じもします。というのも、ブリンガーの場合「始まりの主よ再創せよ」となっています。「始まりの主が汝を再創せん」とはまた違ったニュアンスです。ちなみに、物語ではブリンガーは「始まりの主よ再創せよ」となっていますが、エーテリアス辞典の方では「始まりの主よ、私に再創を!」となっています。
実際、英語版で見てみると、ブリンガーのセリフは「Refine me」となっています。一方、女は「Refine him」となっており、対象が違うというのもポイント。上述したようにエーテリアス辞典では「始まりの主よ、私に再創を!」となっているので、辞典はより直訳に近い形に。まぁ明らかにストーリーは翻訳チームがいて、それ以外の一般イベントの翻訳まで手が回っていないだけなので、意図的ではないと思いますがこの直訳は。
ブリンガーは妖刀の力、あれをどうやらサクリファイス化というようですが、サクリファイス化した結果、自身をサクリファイス・ブリンガーへと変容させた。エーテリアスの区分もサクリファイスです。
ここでいうサクリファイスとは、星見家に代々受け継がれている継承の儀を擬似的に行ったことによるものだろうな、という想像はしていますが、裏付けはありません。ただ、雅の妖刀の継承は母上の死を行わせたことによるものだという匂わせがあったので、妖刀の情報は結構キーポイントになるのかなとは思っています。ただ、現状では妖刀に対してこれ以上はわかりません。一つ言えることがあるとすれば、公式youtubeにあった雅のアニメーションで、妖刀を継承したと思われるもののタイトルが「暁」となっていたもの。この暁というのもちょっとおもしろくて、というのもギリシャ神話でエーオースという、綴でいうとEuosという神話上の女神がいます。Euosはイアスとも読めて、イアス=エーオース=暁という関連がありそうです。星見は今後もめちゃくちゃ本筋に絡んでくるのだろうなと。ちなみにエーオースは暁の女神(夜明けを司る女神)です。
ところでブリンガーといえばミスサンブリンガーもブリンガーでしたが、なにか関係があるのでしょうか。触れただけで特に結論もないです。
”始まりの主”はヘーラーか
さて、始まりの主がブリンガー自身の肉体に再創したと仮定します。この始まりの主=Refine meとなったのは、白い腕に大きな目玉をこしらえた異形の存在。
どうやら以前パエトーン兄妹が見たのも白い腕らしいので、同様の個体が以前にも再創したと考えられます。そこまで考えたら、汝というのは別の対象を指し示すことになりますが、これは後述。
ところで「白い腕」に「大きな目玉」というキーワードに当てはまるギリシア神話上の女神がいます。それがヘーラーです。ヘーラーは「白い腕の女神」とされ、さらには「牝牛の眼をした女神ヘーレー」という呼称。「牝牛の眼をした女神ヘーレー」ってなんで大きな目玉なの?となりますが、古代ギリシアでは牛の目は大きいとされ、女性の目に対する褒め言葉として用いられていたそうです。その他にも牡牛は古代ギリシアだと基本的にはいい言葉のニュアンスがあったそうです。気になる人はox-eyeとかで調べるといいかも。Chatgptにソースまで見せてとかいうと結構いい感じになりますよ。
ともあれ、特徴として一致する「白い腕」に「大きな目玉」。では始まりの主がヘーラーだとして、ブリンガーは知らなかったのかもしれない”汝”とは誰のことを指し示すのか。
汝はゼウス?
ゼンレスゾーンゼロとはなにを指しているのか。という興味深い考察をホヨラボの人がしてくれてるので、ソース貼ります。
というわけで筆者のオリジナルの考察ではないですが、Zenというのがプラトンの対話篇である「クラテュロス」において、Zen and Diaとされています。Zenはゼウスの別名である、とあったり、あとはシケリアのディオドロスやラクタンティヌスによってもZenと呼ばれていた、と示唆されています。
このことから考えると、Zen lessはゼウスがいなくなった、と解釈することができます。「始まるの主」の対象がヘーラーだとすると、「汝を再創せん」、「Refine him」の対象がゼウスである、と考えられます。
ちなみにゼウスはギリシア神話の呼び方ですが、父親にクロノスがいます。クロノスはローマ神話だとサトゥルヌスとなり、サトゥルヌスは絵画でも有名となっている子どもを食らうものです。我が子を食らうサトゥルヌス、と検索して絵を見ればなるほど納得するのかなと。ちなみにクロノスの神話でも普通に子どもを飲み込みます。
さて、クロノスの神話では、自身の子どもが自身(クロノス)の権力を奪うという予言を受けたため、5人までは子どもを飲み込んでいたのですが、ゼウスだけはクロノスの嫁であるレアーが偽って石をクロノスに飲ませたため、ゼウスは難を逃れたとされています。
見方を変えればクロノスによって飲み込まれたはずのゼウスというのがそもそも再創された存在である、とも捉えることが可能です。ただこうなると始まりの主がヘーラーよりもレアーのほうがしっくりきちゃうんですが。
Zen and Diaの話を少しだけ続けます。Zenは生命という意味があるそうで、Diaは原因という意味があり、ゼウスはすべてのものの生命の根源である、ということをプラトンは言ったようです。基本的にはこの生命の源というニュアンスが強いのかなと。
そうなってくると、Zen less、汝の対象がゼウスと捉えましたが、このゼウスというのは字義どおりのゼウスではなく、生命の根源そのものである、という捉え直しが可能です。これが一体全体何を示しているのかは現時点ではわかりません。
ただホロウ、虚の地域は基本的に「Zenless(生命が存在できない)」なゾーンとなっています。Zone zeroまで踏まえてホロウなのかもしれませんが、筆者自身は妖刀が無尾であることから、Zeroは別の意味合いもありそうだとも思っています。どうでもいい余談ですが零尾のほうが文字面かっこよかったから翻訳これがよかったな。零っていいですよね。タイトルにもゼロって入ってるし語呂合わせでこっちに翻訳し直してもいいんじゃないですか。どうでしょう。
妖刀が最後の黒幕というわけではないのは確かで、妖刀に封じられている生命自体が何者かに煮え湯を飲まされているようです。妖刀のお前で二人目という発言から、この妖刀自体は星見家三代目当主のころからもう妖刀であったことを考えるのが自然でしょう。もしくは讃頌会の司教の虎の子がこの妖刀だったのかも。讃頌会よくわからないけど。
妖刀にせよZenlessにせよ、生命エネルギー、というのが今後も主題になってくるのかもなという感じです。ホロウという虚な空間は、すべての生命を飲み込んで変質させ、それをエーテルという元素に変換してしまう。しかしもともとエーテル自体は生命エネルギーだったので、エーテル結晶とかは貴重な資源として活用できるし、という感じの世界観なのかなぁと。
敵が目指しているのはそうした生命エネルギーの極致であるなんらかの存在で、ホロウやエーテリアスといったものは生命エネルギーが充満した汝の副作用にしか過ぎず、といったところでしょうか。ホロウ自体も再創の手段に過ぎず。だとしたら、アーチ教授(arche)がホロウに潜ったままだと、なにかの生命エネルギーの更に根源とか探しに言ってるのかなぁ、なんて。
ちょっといろいろ調べていたら、下のヘーラーの余談、というところでもうちょいしっくりする考えができたので、よかったらそちらも長いですが目を通してみてください。
正直1.4でもうちょいいろいろわかるかなと思ったんですが、事前情報よりも内容小出しだったな感。まぁ今の敵終わったらゲーム続きどうすんだろねって感じもしてくるといえばしてくるので仕方ないんですが。
敵側組織の目的とヘーラーの余談
ユーノーとの関係性
ヘーラーはローマ神話ではユーノーと同一視されています。カレンダーとも関係性が深く、すべての始まりと関連しているらしいです。どうやら毎月の最初の日がユーノーのための日であるそうで、始まりの主=へーラー=ユーノーというのはそんなにおかしいことではない気がします。この始まりというキーワードからしても、始まりの主、というのとの関連性はしっくりきます。
さらに、ユーノーはヤヌスとの関係が深かったそうです。ヤヌス区から出馬したブリンガーという構図なので、恐らくこのヘーラー=ユーノー=始まりの主というのはそんなに筋道としてはおかしくないのかなと。ヤヌスは2つの顔が描かれており、出入り口とかそういった意味があるらしく1月の語源にもなっています。始まりの神であることからユーノーとヤヌスが密接な関係があるようです。
このヤヌスというのはローマ神話にしかいないようなのですが、ヤヌスは門番であることから時間と関連して動くらしいです。そしてヤヌスは実はサトゥルヌス=クロノスとの兄弟としてローマ神話では語られていたようです。そしてヤヌスはユピテル(ゼウス)によって追放されたサトゥルヌスを迎えてやる、という役回りを持っていたそうです。
同一視とまでは言わないまでも、始まり=誕生と見ればユーノーとヤヌスはそんなに関係性としてはおかしくないだろう、という学説もあるらしい。ユーノーは生命力という概念と密接に結びついていたことからも。
上の考察ではZen lessという言葉から汝がゼウスとしましたが、正直ゼウスがラスボスでもいいんですが個人的にはそんなにピンときていませんでした。
こちらのユーノーとヤヌスを手がかりにしたとき、Zen less、つまりゼウスがいなくなった地域。この地域、つまりゼウスがいない地域では、追放される前のサトゥルヌスが君臨できたと考えるとかなりスッキリしてきます。能力的にはクロノスのほうが悪用できそうなのもあり、あとサトゥルヌスよりもクロノスのほうがなんとなく知名度高いような気がします。日本だけかもしれないのでだからクロノスね、の妥当性がどのくらいあるかは別ですが。
あともう一つクロノス再創だとすると、タイトルがZenになっていること。ローマ神話だとユピテルなので、ゼウスのいない地域とするのだとすれば、ギリシア神話側のものと解することもでき、そうなればクロノスだろうということです。
サトゥルヌス=クロノスが敵だとしたら、敵の目的は時間というものに対してなんらかのアプローチをしたいのかもしれません。そもそもホロウ自体時間の経過がおかしかったりしているようなので、時間を操るクロノスへのアプローチはやっぱりしっくりきます。
敵側組織の目的は、Zen less、ゼウスのいないホロウ地域を作り時間を自由に支配することができるようにしているのかもしれません。ゼウスが存在していたらクロノスは追放されてしまいますからね。
そして、追放されたクロノスを再創するために、始まり”の”主が汝を再創せん、ということ。この始まるの主、という言い方、英語だとCreatorだけなので、ニュアンスはわかりませんが、少なくとも日本語の翻訳を見てみるに、クロノスを再創するのだとすると、「始まり(という能力を持った)の主」という解釈も可能であり、意図的に情報量を絞った呼び方であると考えれば、始まりの主がユーノーおよびヤヌスという解釈も不自然ではないなと感じています。始まりの主は敵側組織が信奉している対象そのものではなく、あくまで多神教的な世界観における「始まり」そのものの主である、という意味です。
さて、ここまで書いてみると、以前僕自身が考えていた内容に「Rewind」というPVにあった文字から、時間遡行をするのでは、と考えたものがありました。あれはその後なんらかの形で過去を見ただけなのかもなぁ、と思ったのですが、サトゥルヌス=クロノスが関わっているのだとしたら、Rewind=巻き戻しというのはやはりループものとしてのアプローチをゼンレスゾーンゼロはいずれかのタイミングで取るのかもしれないな、と思います。
ここで問題になってくるのは、ユーノーじゃなくてヤヌスの話じゃないの?という点。正直ここは完全に解消こそされていないのですが、ヤヌスとユーノーは特定の場面では同一に近い認識もされていたりするそうで、ヤヌス区のトップだったブリンガーが始まりの主(ユーノー)を自身に再創する、という構図自体はそんなに。この先が若干こじつけぽいんですが笑
とりあえず作中で10/1がXデーとかになれば関連性としてはバッチリです。Xデーがわかるようになっているのはまだまだだいぶ先でしょうが。
ゼンレスゾーンゼロのゲームの用語としては、ギリシア神話を基調としながら、ギリシア神話に基本的に目線を向けさせつつ(ミスリードさせつつ)、実はローマ神話を扱ってました、というのをしたいのかなって感じはします。でもヤヌス区ってでてきてるしな・・・とも思わなくはないので、単純にギリシア神話のゼウスのほうがわかりやすいっしょってだけかもしれない。真相は闇の中。
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