自分は元々「ノベルゲー」や「ギャルゲー」をよく遊んでいて、最近はめっきりその”界隈”からは離れてしまったが、今でもやりたいと思うゲームは将来の宿題として残ってもいる。
さておき、最近はめっきり離れてしまったとはいえ、それでもかわいい女の子がでたりそれを全面に押し出したゲームは今でも気になってしまう。直近で言うと『NEEDY GIRL OVERDOSE』はその一つだった。が、そもそもそういった類のゲームは本数も減ってしまったように思える。それこそゲーム性のあるギャルゲーは『アマガミ』以降もきっと出てはいるのだろうが、シリーズ化して頑張っていた『ラブプラス』も廃れてしまったし(本編のせいもあるだろうが)、会社であればANIPLEX.EXEは頑張っているのでぜひとも応援したいが、後はぱっと思いつくところだとエンターグラムやMAGES.(5pb)くらいだろうか。
この頃は新作というよりかはPCの移植が目立ってきつつあるそんななか、いきなりリリースが発表されたのがこの『バニーガーデン』だ。なぜか『ドリームクラブ』(以後ドリクラ)の文字も目立ったが、それもそのはず、『バニーガーデン』を作ったqureateの代表取締役がドリクラを作ったディースリー・パブリッシャーの元プロデューサーである。経歴的にはドリクラのプロデュースはしていないようではあるが、それに近い人間なりも多くいるのだろう。
と、こうした背景がある中、やはり買うしかないこの作品は。となった紳士淑女も多いことだろう。では、肝心のゲーム内容はどうだったか。タイトルにもある通り、詰めの甘さは感じる。一方で今後も頑張って続けてほしい、応援させてくれ。と思わせる作品でもあった。
かわいい女の子と一緒に会話を楽しもう
ちょっぴりえっちなお店で女の子と至福のひとときを
さてさっそく本編の内容について触れていきたいが、女の子と会話をしよう!が本作の主題だ。言ってしまえばそれがすべてでもある。
ゲームの進行としては、お金を稼ぐ→バニーガーデン(店名がそう)に向かう→目当ての女の子と会話をして好感度アップ→そしたまた労働へ…という非常にシンプルなものだ。なにごともお金がないことには始まらない。仕方のないことである。
ただ、本作はそうして貢ぐだけ貢いだ見返り?も実はあって、というのも本作は恋愛ADVだったりする。いや、ただ可愛い女の子とお話がしたいんだ!という非常に遊びが上手な紳士淑女の方もいるとは思うものの、この恋愛ADVの側面もあることは注意?しておいた方がいいかもしれない。
さて、本作はゲーム性が基本的に会話部分に全振りされていて、選択肢を選んだりして女の子が喜びそうなことをいってあげたり、あるいは以前どういった内容を話してたか覚えてるかな…と聞かれることも。話をスキップしてパンツばかり見ているとしっかり好感度が落ちてしまうので、女の子との会話もしっかり楽しもう。
今さらっとパンツという単語がでてきたが、そう、本作はパンツなのだ。女の子との会話をしつつ、パンツを嗜む。そんな作品が本作バニーガーデンである。ここに異論を挟む余地はまったくない。なにせ、公式で「PTA」という単語が存在しているくらいなのだ。もちろん紳士淑女の皆々様には「PTA」という単語の意味なんてものは釈迦に説法だろうなと思いはするものの、一応、意味を伝えておくと「パンツ(P)たくさん(T)ありがとう(A)」の意味である。女の子と楽しくお酒を飲んでパンツも嗜む。
通常注文
ボトル注文
ちなみにこのPTAシステムもなかなか巧妙で、上の画像を見てほしい。左は通常のドリンクを頼んだときだ。高い位置に手を伸ばしていて、ついつい覗き込みたくもなるがギリギリで見えなかったりする(凜はスカートのガードが他二人に比べて堅い)。一方、ボトルを頼むと低い位置にあるので女の子がかがむようにして取る。すると、先程までは見えなかったパンツが降臨なさる。まさにPTAだ。パンツたくさんありがとうとは、高い注文ありがとうねという店の心意気でもあるのだろう。ちなみに、高いドリンクを頼むと好感度の上がり幅もはんぱじゃない。
こうしてちょっぴりえっちなお店で女の子と会話を楽しんでいると、仲が良くなってちょっとしたミニゲームのお誘いがあったりアフターのお誘いも。さらには旅行まで行けてしまう。再三言うように本作は恋愛ADVなのである。魅惑的な女の子とたちと会話を楽しんでいれば、自ずからに。
唐突に女の子を紹介
花奈 | 凜 | 美羽香 |
話を続ける前に、本作の一番大事な部分である女の子を紹介しておきたい。見ての通り、全員スタイル抜群である。ちなみにだが、花奈>凜>美羽香とゲームを進めていたらそれぞれの会話から判明した。なにがとはいわない。
定番の赤黄青で分けられていて、赤が素直ないい子枠、黄が親しみやすく、青がちょっぴり人付き合いが苦手な女の子という感じ。余談だが、凜と言われると美羽香と凜がどうしても最初反対になってしまっていた。名前でイメージ固定化がひどい。
花奈
さて、まずは花奈だが、主人公・杯人の救世主でもある。決して大げさではなく、会社をクビになった杯人に声をかけて、人生まだ頑張れるよ、と伝えてくれた人であるから、彼女がいなければ杯人の人生は終わっていたかもしれない。というエピソードからもわかるように、優しさに満ちている。いわゆる”いい子”枠だ。
とある夢のために親の反対を押し切って上京してきているそうで、彼女との関係が深まればそういった事情もより聞けることだろう。
凜
次に凜は、すごく今風のキャラだ。というのも、オタクに優しいギャルというか、オタクなギャルという感じの女の子。酔っ払うとグッズを大量に買ってしまったり、推し活もしている。タメ口で話して誰とでも気さくに話せて、モテるらしい。
公式分だと「小悪魔的な挑発をして」とあるが、好きな子に対してはそういうアプローチをしたいという感じの女の子で、特に酔っ払うと甘々になったりちょっぴりMっぽさもでてくる。
美羽香
美羽香はキャスト歴が一番長いが、口下手。一方でそうした自分を自覚もしているので、仕事に向いてないのも自覚している様子。ただ、妹と二人暮らしなのでお店で働いているという事情もあり(すぐにわかるので特にネタバレという感じではない)。
そんな口下手でひどいことも言ってしまうのに何度もお店に通っている杯人に好意を抱いている。また、酔っ払ったときのギャップが一番あるので、ある程度仲良くなったら度数の高いお酒を頼んで酔っ払ってもらうと意外な一面が見られるだろう。
誰と仲良くなるかは自分次第
以上3人の女の子から好きな女の子と仲を深めていこう。人数的には多くはないが、値段も値段ではあるし、ラブプラスだって3人だった。案外多すぎずいいかもしれない。
全員に目移りしてしまう人もいるだろうが、そういうときはとりあえず全員と仲良くなってもいいだろう。と、好感度を他の女の子も上げてしまうと、他の女の子からも今日は杯人くんとおしゃべりできるのかな・・・みたいな会話が最初に挟まってくる。この男モテモテである。
上の画像では2人だが、当然、3人全員と仲を深めることも可能だ。そこは自分のプレイスタイルで各々楽しむのがいいだろう。
気楽に遊べる一方で詰めの甘さは残る
フラグ管理が残念な部分も
さて、ここから少し気になった部分を。ただ、先に伝えておきたいのは個人としては本作には非常に好意的、というスタンスなのは留意しておいてもらいたい。
まず、一番ここはダメだろうと思ったのがフラグ管理の部分だ。花奈と話しているときに、将来の夢が語られる、という場面がある。それ自体はもちろん問題ない。ただ、そうした花奈の将来の夢を主人公が知る前に、アフターかなにかの会話で、杯人くんって私が◯◯目指してるの知ってるよね、という旨の会話をしてしまうのだ。
これは非常に行けない。通常のこういった会話のゲームでも、主人公と女の子との会話でまだ知り得ないはずの情報がでるのはよくないが、本作にとってははっきりいって悪いものとして描かれてしまうのだ。では、なにがそんなに問題なのか。
1つ目はゲームシステムそのものに関わる部分だ。女の子側はこちらが話したことを覚えてるのかな~という風にして忘れていると好感度が下がる、というシステムになっているのにも関わらず、あまりにも非対称的ではないだろうか。
2つ目は本作がガールズバーというところを舞台にしているということに尽きる。つまり、花奈にしろ凜にしろ美羽香にしろ、女の子たちは日頃から様々な客を相手にしている。これのなにが問題かと言われれば、彼女たちは杯人を特別だと思っておきながら、杯人に対してなにを話したか覚えていないということにも繋がりうるし、もし仮に花奈の夢がそう簡単に人には話さないということであったとしたら、杯人以外に杯人と同等以上に仲の良い客が存在していることになる。
さらに言うと、不特定の客と話しておきながらも、杯人と話した・過ごした時間だけは絶対に忘れない、という特別感の演出すら薄まることになる。実際、凜の会話パートでは杯人との話は絶対忘れないよ、という旨の発言があるので、お客さんはたくさんいるけどあなただけは特別なのだ、というメッセージがまるっきりなくなってしまう。
まぁ世の中はそんなものなのかもしれないが、本作は恋愛ADVだ。フィクションなのにそうした懸念点が介在してしまうというのは非常に問題である。本作は恋愛ADVであってNTRADVでもなんでもない。もちろん、そんな少しのことでここまで大げさに考える人は少数派なのかもしれないが、こうした細かい点一つ一つにこそ作品の命が宿ると、少なくとも僕自身は思っている。細かな指摘かもしれないが、ここは一番大事にしてほしい部分であった。
かわいいはかわいいが…
さて、もう一つ個人的には気になったのが、女の子たちの造形だ。断っておくがどのキャラもかわいい。ただ、かわいい以上のなにかがでてこない。
別にこれは本作に限っただけのことではないし、他の作品でも思うことがあるのだが、あぁあのキャラかわいかったよね、という感想以上がでてこないと、どうしても記憶に残りづらくなってしまうのだ。
例えば僕自身はといえば、未だにアマガミの絢辻さんが大好きなのだが、彼女自身については最初から好きだったわけではない。むしろ七咲の方を先に好きだったのだから、実際にプレイしてみて印象が変わって、今でも大好きなキャラの一人になっている(というかトップクラスといっていい)という経験がある。もちろん、他にもこうしたキャラはいる。
本作の女の子たちに関していうと、杯人に対して最初から好意的だし、歩み寄る過程というのもかなり少なめだ。むしろ好感度が低い状態でも最初から好感度が高いようにも見える。もちろん、それ自体が問題だとは全く思わない。また、後半になってくると、花奈が主人公に対して抱いていた最初の印象なんかもうかがい知ることができるので、若干難癖のような気もしてくる。
きっと惜しむべき点は、本作の範囲が非常に狭い、という点と、駆け引きという点が感じられない部分だろう。基本的に主人公は女の子からの提案だけを待っている。アフターの誘いや旅行の提案(最初に提案するのは彼女)といった大きな部分から、ミニゲームといってほんの小さな部分ですら女の子からの提案を待つだけだ。
するとちょっとしたイベント、つまりアフターや旅行といった範囲はあるものの、どうしてもお店のなかで終始してしまう。それこそ連絡先を交換してどっかに遊びにいったりもしてよかっただろうし、そうしたところでしか聞けない特殊会話を後々思い返すとか、あのとき彼女がいっていたほしいものをプレゼントとして持っていってあげたら、あのときの会話覚えててくれてありがとうね、というような展開もできただろう。
また、女の子からのアプローチもあまり見えない。そこも駆け引きという点につながるだろう。もちろん、男側からのアプローチもすべきなのは重々承知として、やはり、女の子のちょっとした行動が非常に可愛いものだったりもする。そうした行動がないため、恋愛ADVというよりかは、PTADVみたいな様相になってしまった。例えば先述の絢辻さんでいえば、秘密の共有というスタート地点からあって、最後には…という山場もあり、印象に残りやすいシナリオとなっていた。
と、これ以上だとなかなかに話が壮大となってくるのでこのあたりにしておきたい。
なにはともあれ、色々と言ってきたが、この章の冒頭にも述べた通り、個人としては本作には非常に好意的である。事実、今指摘した点に対しても、まぁ値段が値段だしなと思ってもいるし、カジュアルに遊べるちょっぴりえっちな恋愛ADVというのは十分に果たしているのは間違いない。
にも関わらず、ではなぜこうしたことを長々と書いたのか。それは次回作への僕個人の期待からだ。本感想の最初にも述べた通り、最近はあまりこうした作品を見ることも少なくなってきてしまった。そんな中、たとえ取っ掛かりがちょっぴりえっちだとか配信映えしやすいとか、そんな理由だったとしてもギャルゲーがこの先まだ出せるし勝算もあるのかも、と見せてくれるだけで本当に嬉しいとも思っている。
インスタントにかわいいとえっちが接種できる本作の路線はそのままに、次回作は印象に残るキャラにまで昇華させてくれたらもうなにも言うことはない。もちろん、ラブプラスのようにキャラが続投でもいいだろう(世代交代が進まないという失敗もありそうだが)。
とにかく、色々と希望が持てる作品でもあったことは記しておきたい。
Switchでもそこまでグラやロードが気にならないのは好印象
最後にSwitchとSteamどっちがいいんだろう、という部分に関して少しだけ。本作はSwitchとSteamで発売ということで正直残念に思っていた。グラであったりロード時間はどう考えてもSteam一択なのに、最初にSwitchか…と。
と、蓋を開けてみれば、グラフィックはSteamと大差なく(今後変化はあるかもしれないが)、ロード時間に関してはSwitch版でもそこまで気にならない。もちろん全くないということはないし短いとは言えないものの、まぁこんなもんだろうな、という枠には収まっているので問題なしだ。
もちろん、SteamにはMODの導入などもあるし、Switchは家族共用で使ってるんだよな、という人もいるかもしれないが、なにはともあれSwitch版でMODの導入を検討しないということであれば、全く問題なく遊べた。そこは素直にいい点だろう。
ただメニュー画面の挙動というか、ロード時間なんかは少し気になりはした。Steam版はまだそこをちゃんと見れていないのでどうなっているかわからないが、あとはここさえしっかりできていればなといったところ。ただ、総合的に見たらSwitch版で十分に遊べるのは間違いない。
さっそく次回作に期待!な作品
以上本作の感想だ。まだリリース間もないが、次回作は恋愛パートを強化したものをぜひとも遊んでみたい。あとは衣装やパンツの着せ替えなんかもあるとなおのことよいだろう。本作に関していうと、衣装に関しては制服、私服、水着の3パターンしかなかったので、それこそDLCでもいいかもしれない。DLC商法と叩かれるかもしれないが、節度をもった衣装の売り切りであれば十分購入してもいいと思わせられるのは間違いない。
総合的に見て値段的には十分気になってる人は遊んでみてもいいと思うが、恋愛部分に関しては過剰な期待を抱くのは禁物だ。先述したように、比較的低価格で遊べてかわいいがかわいい以上ではない、というのが紛れもない僕個人の感想である。
やはり、ちょっぴりえっちなというのが肝であって、こうした取っ掛かりからさらに恋愛パートを煮詰めることができれば文句なしの名作にすらなりうるかもしれない。まぁこれはこれで、しっかり作り込んだ恋愛パートを作ったが…なんてことにもなりかねないので難しいところだが。それに、作り込んでも売れるとは限らないので、会社側からするとリスク要因なのだろうなぁ、と思わなくもない。
ともあれ、取っ掛かりがPTA案件だったとしても、こうした作品が売れるのは証明できたわけで、個人的にもこれは喜ばしい点だ。qureateの今後にはさらに期待していきたい。
ゲーム情報
タイトル名 | バニーガーデン |
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発売日 | 【Nintendo Switch】2024年4月18日 【STEAM】2024年4月19日 |
ハード | Nintendo Switch/ STEAM |
ジャンル | 心が清らかなお紳士様向けの恋愛ADV |
価格 | 2,980円(税込) |
対応人数 | 1人 |
対応言語 | 日本語、英語、繁体字、簡体字 |
対応音声 | 日本語 |
CERO | D(17歳以上対象) |
キャラクターデザイン | 乾和音 |
シナリオ | 武藤隆義(株式会社ジンテーゼ) |
企画原案/プロデューサー | 臼田裕次郎 |
公式サイト | https://qureate.co.jp/bunnygarden/ |
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