Hookah haze評価・レビュー|サクッと遊べて画面の面白みはあるがコスパは悪し

Hookah haze(以下フーカーヘイズ)は、アクワイアが開発しパブリッシャーがアニプレックスということで、おお最近はアニプレックスも頑張ってるなぁ(ANIPLEX.EXEを念頭に)という感想が真っ先にでたタイトル。多くの人にとってはそんな感想はどうでもいいとは思うものの、個人的にはここは結構応援したいと思っていて、ノベル寄りのゲームに力を入れてくれるのは素直に嬉しい。

では肝心の内容はどうだったかというと、思った以上にボリュームが少なかったな、というのが一点大きくある。とはいえこれは人によってはいい点で、最近のゲームはAAAタイトルでなくインディーゲーでもプレイ時間が長大化しているとも思っているので、この点はむしろ人によっては評価できるポイントになるのかもしれない。というわけで本題にGO

目次

ゲーム要素は果たしてどれほど作品に寄与しているのか?

ゲームパート、いる?

という本作の根幹を揺るがすようなことをいってしまうが、かなり簡単にシーシャのフレーバーを作成できるだけでなく、別段これといって作品内容に寄与しているとは思えない部分であった、というのがまず一点。

正直なところこのフレーバーを作るという部分がキャラによって好みが分かれている、という差別化は図られているものの、特に考えもせずに特定のフレーバーだけを入れておけばいいものとなってしまったし、加えて嫌いなフレーバーのみを選択していても問題なくルートに入ることが可能であった。

となってしまうと、このフレーバーパートや炭をカンカンするパート、いる?という、一番最初の部分に立ち戻ってしまうのである。

そこまで考えてしまうと、シーシャを題材にした理由も流行り物(かどうかはわからないが)だからなのかなぁ、なんてうがった見方をしてしまいかねない。唯一本作におけるゲーム性と呼べるような部分はフーカーリンクに本日のおすすめフレーバーを投稿し、どの女の子が今日くるか、というくらいであって、それ以外はとりあえずフレーバーの組み合わせを増やしていくくらいのもので、うーむ、となってしまった。

多くの人がこうした作品形式だと『VA-11 Hall-A』(ヴァルハラ)を思い浮かべると思うが、あれはドリンクを作ること自体が謎解き要素のように機能していた。それが面白いかどうかはともかくとして、ゲーム性という部分は担保されており、バーテンダーとして客の望むものを提供するぞ、というような体験はできたかもしれない。

フーカーヘイズはどうだっただろう。とまで考えたときに、むしろくる女の子同士の会話を回収したいと考えたらゲームのテンポを損なってしまう要素に感じられてしまったのが僕自身の偽らざる本音であって、それは残念な部分であった。

画作りは◯

次に画面に関して。これは結構頑張っているな、と素直に感じた。キャラクターも表情がコロコロ変化するし、一部はモーションも少しあって、いわゆる「紙芝居」的なノベルゲーではない。コミカルな表現もあったり、例えば上の画像だとシーシャの煙がもわぁっと広がり、枠からはみ出たりする表現もよかった。

また、一日が終わるごとにメモ帳などもあるが、その隣の薬の数が減っていったりするのもタイムリミットが徐々に迫っているな、というのを視覚的にも感じることができたし、画作りは個人的にはいいなと感じた。

UIは最初は分かりづらい、特に左下の部分をクリックしてメニューが開ける、というのは疑問に思う人もいたのかな、とは思うものの、そこまで設定が大事なゲームでもないし、DMがあるよ、とあるのでいつかのタイミングでクリックして開くだろうと予想もされる(最後まで気づかない人もいたかもしれないけど・・・)。普段はこうしたおしゃれさを優先して利便性を損なうものには批判的な目を向けるのだが、本作はゲーム自体が短く、かつ雰囲気を優先すべきだと個人的には考えているので、UXの悪さとの引き換えにデザイン性を担保したのはいい判断だったと思う。

シナリオは短く”まとまっている”

最後にシナリオに関して。あまり深くいうとあれだが、一応短くまとまっているかな、とは感じた。短いシナリオが名作になりえないとは思っていないし、本作と同じようなプレイ時間のゲームで未だに心に残っているものもある。

では本作は心に残る作品だっただろうか。と言われると、実のところ厳しい。ただし、決して悪い作品だったから心に残らなかった、というわけではなく、優等生的な作品だったので心にのこりづらい、というのが精確なところである。

あむ・こころ・くるみそれぞれになんらかのトラウマであったり目下進行中の悩みであったり。そうしたものを短い時間ながらトオルが上手くやっていって、という流れがメインとなるものの、プレイ時間が3時間前後しかない作品で3キャラ分、となるとその実一キャラに関しては1時間以下しか取れない。

こうなってくるとどうしても深みを出すのは難しくなる。一方で短いシナリオで、というのを割り切った結果なのかもしれないが、例えばそうしたトラウマであったりを深く踏み込まなかったのは奏功した。というのも、トラウマの踏み込みであったり悩みなどの問題に対してシナリオが頑張ろうと思うと、どうしても細かい設定づくりが必要になってしまう。

無論、本作がそうした細かい設定を考えていないのでは、ということまではわからないのでふれないが、例えばトオルもよくわからないけどシーシャ(ニコチンなど含まれている)を吸えるけどとにかく重たい病気で一年程度しか残り生きられないとか、こころのトラウマへの踏み込みとか、あむの現在の問題への対処法が辞める(細かくは言わない)というものであったりとか、そのくらいのものになってしまっていて、しかしこれらをしっかりやろうと思うとまた別のシナリオ、要するに閉じたコミュニティではいられなくなってしまう。

フーカーヘイズはあむの最初の方にこそあむのリアコ勢だったりとか、くるみ・こころも多少彼女たちの周囲の人間がでてくるものの、それなりに閉じたコミュニティで進むお話だからこのくらいの時間でまとめているが、踏み込んで広げたりすることを考えるとどうしてもキャラを増やすというのが一番簡単な選択肢になる。

そこまで考えたときにこれくらい軽い感じで終わらせたのはゲームボリュームが増えないという点ではよかった。一方でやはりそうした手段を取らないと、あくまで個人的には心に・記憶に残るような作品にはなりづらい。

ただ一点、せっかく複数のキャラが来店したりするのだから、そこでお話の拡がりを持たせてやってもよかったのかな、とは思う。先程上で「キャラを増やすというのが一番簡単な選択肢」だと述べたが、新しい関係性を構築したことによってなにかが変化する、ということも十分できたのかな、とは思わなくもない。例えばくるみの人形をこころの雑貨屋に置いたりとかSNSで企画したりだとか、そういう拡がりを持たせてやると、より繋がりらしきものが見えたのかなと思わなくはない。

あとそうそう、主人公の炭木トオルだが、彼を病弱、柔和な雰囲気にしたのは正解だった。色白の薄幸さがないとシナリオ的にイライラしてしまった可能性もあるので、ここはよく抑えたなと感じた。

画作りとキャラが気になれば選択肢に

率直な感想をいうと、やはりコスパとしては悪いかな・・・というのが本音だ。定価だと2000円近くはする作品で、3時間程度のプレイ体験で、ここに何を求めるのかにはもちろんよるだろう。とはいえ映画一本見るのに同じくらいの値段がかかると考えれば、そう悪い選択肢ではないのかな、とも一方では思う。

結局のところ2000円を高いと思うか低いと思うかは無責任だが人によって異なるし、個人としてはちょっと高かったな・・・というのをゲームクリア後に感じたということは、言い換えれば値段なりの満足感を得たわけではない、という厳しい意見を持っているということにもなる。

ただしSteamだと評価はいいし、いやいやお前の言う事全然違うよ、心に残る作品だったよ、という人もいるだろう。あくまで本感想は私個人の評価・感想であって、素晴らしい作品だと感じた完成は変える必要はないし、購入に迷っているのなら他の人の感想も含めて見て判断するのがいいだろう。と、最後に逃げ口上をして本感想を締めたい。

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