ユニコーンオーバーロード評価・感想|グラフィックはもちろんのこと、システム面でもしっかりと楽しめる2024年の良作

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最大の魅力はやはりグラフィック

早速本作の完走を書いていきたいと思うが、未プレイ・購入を検討している人はまずは以下の動画を必ず見てもらいたい。必ずです。

今動画を見てくれた人はわかる通り、本作『ユニコーンオーバーロード』の最大の魅力はその画作りにある、と言っていいと思う。前作『十三機兵防衛圏』でヴァニラウェアを知った人も多いとは思うが、本作もその例に漏れずグラフィックが非常に魅力的だ。

特に戦闘・イベントシーンはこだわりの2Dグラフィックを存分に楽しむことができる。好きな人は正直これだけでもう買い、といっていいだろう。そのこだわりようといったら、一度用意したモデルを全部作り直したこともあるというのだから驚きだ。特に個人的に女子キャラがかわいいのが非常に嬉しかった。公式で紹介ムービーという形で軽く見ることもできるので、気になる人はチェックしてみて欲しい。

ちなみに本作には「乙女の指輪」という、上のローンチトレーラーにもあったいわゆる結婚要素がある。筆者の場合は悩みに悩んだ結果、エルフのロザリンデ、というキャラに指輪を渡した。この他もキャラデザがいいキャラが多く、きっとお気に入りのキャラが見つかるはずだ。女子キャラ以外も魅力的なおっさんキャラなども登場する。ちなみに先程の結婚要素とは少し異なるものの、同じくおっさんにも指輪自体は渡すことができる。

戦闘中の移動などは簡略されたものに

こうした美麗なグラフィックが楽しめる一方で、フィールド探索や戦闘の移動シーンなどは簡略化されたグラフィックとなっている。これは仕方がないのかもしれないが、動かす楽しさという点では前作『十三機兵防衛圏』と比べるとどうしても劣ってしまう。ただ本作はSRPGということもあるのでこの点は仕方がない。特に戦闘の移動パートで等身が高くデザインされていたらそれはそれで見づらい画になっていたのかもしれないので、ジャンルの違い程度の差だろう。

ただ、筆者がどうしてこのようなことをわざわざ書いたのかといえば、それだけ『十三機兵防衛圏』で受けた衝撃が大きかったという点が上げられる。オーディンスフィアでもそこまで思わなかったのだが、元々ビジュアルノベルをよく遊んでいた身としては、このグラフィックのまま動かせるのか…とプレイ開始数分で驚嘆にも似た感想を抱いたので、どうしてもそこと比べてしまった。まぁビジュアルノベルとはいったが性質的にはアドベンチャーだとは思うが、細かいジャンル分けはこの際いいだろう。なにはともあれ、そうした背景からこの点は一言しておきたかった。

戦闘パートは大物食いもでき、好きな人はより楽しめる

本作のジャンルはSRPG、シミュレーションRPGだ。筆者はそこまで本ジャンルに造詣が深くないので、RTS(リアルタイムストラテジー)的な要素を併せ持ったSRPGとしてあまりないな、と思っていたが、どうやらオウガバトルという往年の名作と似た作りになっているそうだ。ところで本作のBGMはベイシスケイプという会社が作曲しているのだが、代表があの崎元仁氏だ。オウガバトルのBGMが好きな人はこの点も好みかもしれない。

リアルタイムストラテジーは、リアルタイムに流れる時間に制約されて遊ぶストラテジー(戦略)ゲーム、というようなジャンル群を指す。例えばFEはターン制のSRPGなので、RTSには含まれない。

うんちくはこのくらいにして、本作のバトルシステムについて簡単に触れておきたい。戦闘の流れは、まずユニットを編成し、拠点から出撃。出撃させた部隊の移動先を決めて、リアルタイムで流れる時間の中で敵味方が入り混じりながら先に進んでいく。接敵すると戦闘が開始され、というような流れだ。FEのようなターン制のSRPGではなく、移動は敵味方が流れる時間の中で自由に動くことになり、その点でRTSといっていいだろう。

大まかなゲームの流れは以上だが、、本作のゲーム性を特徴づける2つの主要なシステムがある。それがブレイブとスタミナだ。

まずブレイブに関してだが、ブレイブは出撃ポイント、と言い換えてもいい。部隊を出撃させるにはこのブレイブを1消費する必要がある。ただしこのブレイブは消費されっぱなしというわけではなく、出撃する際に1消費すると、今度は部隊を拠点から自身の判断で撤退させたときには1返却される。

また、ブレイブは各キャラ(クラス)固有のスキルを使う際にも消費される。いずれにせよ、ブレイブがなくなってしまうと部隊が出撃できなくなってしまうので、ブレイブをどうやって溜めるのか、というのが重要になってくる。ブレイブ自体は敵の撃破か拠点を制圧することで溜まっていくので難しくはないが、特に高難度を遊ぶ際にはしっかり管理しないと味方部隊が撃破された際にブレイブが減ってしまうので注意する必要がある。

スタミナも非常に重要だ。スタミナは1戦闘するごとに消費されるが、このスタミナが切れてしまうと移動ができなくなってしまう。SRPGにおいて移動ができなくなるというのは非常に重いペナルティといっていいだろう。一方でこの制約により、SRPGにありがちなエースユニット・部隊を一つ作ってそれで全拠点を制圧していくというのがしづらくなっている。

スタミナを回復するにはアイテムを使うかその場で休息を取るか、あるいはブレイブを消費して特定のクラスが持つスタミナ回復系のスキルを使うかするしかない。また、スタミナは誰をリーダーにするかで異なっており、例えば空を飛べて基本的にギミックをガンガン無視できるような移動力が強いユニットをリーダーにするとスタミナが4しかなくなってしまう。直線で最短距離をガンガン移動できて、かつ地面のギミックも無視できるのでリーダーとして非常に優秀ではあるものの、戦闘回数が多くなる、例えば拠点前などではすぐに移動できなくなってしまうということも起こり得る。

以上のことを考えながら、キャラをどこに移動させるのか、あるいは出撃させるのか、今は撤退させるのか。そうした戦略も重要になってくる。

とはいえ、これがシビアに要求されるのは最高難度のエキスパート(ゼノイラというクリア後難易度も含む)くらいのもので、タクティカルでもそこまで管理が煩雑ではなかったりする。普通に遊んでいればそこまで考慮する必要はないので、難しいのかなと身構える必要はない。加えて難易度も4種類ありゲーム中に自由に変更できるため、いずれにせよそこがネックになることはほぼないだろう。

以上の戦闘の流れと、あとはもう一つ、本作における特徴的なシステムがある。それが細かい戦闘指示だ。本作は接敵すると、こちらが細かい行動を指示することなく、事前に決めた行動をキャラクターが取る。その事前に決めた行動というのが、こちらである程度細かい指示出しをすることができ、その状況に合わせた行動を取る。

例えば「敵に重装系がいる」とした条件付がある場合、敵に重装系がいなければその行動を行わない。どの行動を取るかは事前の敵の集団であったり、ある程度決め打ちして柔軟性の高い指示を出しておけば比較的自由が効く。それこそ取ってほしくない行動があればその行動自体を作戦から外すこともできるので、どういった行動をこのキャラには取って欲しいのか、あるいは同時発動制限があるものはこのキャラのを発動して欲しいから他のキャラからは外しておく、というようなことができる。

と、ここまで書いたらガンビットじゃん、と思う人もいるだろう。そう、ガンビットである。ただ、ガンビットほどには賢くないというか、考えて指示出ししないと無駄行動を取りがちだったので、このあたりはゲームの仕様などをしっかり把握する必要がある。なので、本作は戦闘はオプションボタンで全スキップできるが、新しいガンビットを試したい、意図した挙動になっているのか、を確認したいときはR2で早送りしながら戦闘パートを見ることをおすすめしておきたい。

ところでガンビットといえばFF12である。奇しくもFF12の音楽は崎元仁氏であった。オウガバトルといい本作と言い、なにかと縁故が深いのだなぁ、と思う。

閑話休題。以上の戦闘システムで様々考えながら遊ぶことができる。上手な人は低レベルで闘技場という1戦闘をして勝敗を決めるものを低レベルでクリアしたり、そもそも本作のラスボスクラスに推奨レベルを満たさないのに挑んで、編成やら装備やらを整えて勝利をする人もいる。シミュレーションをしっかりと考えて遊ぶ人にとっても、そうした部分で楽しめるだろう。

また、個人的にもう一つ良いと思った部分がある。戦闘パートの回数に関してだ。前半はかなり解放すべき村々が多く、このペースで戦闘させられたら正直ちょっと飽きてしまうな、と感じ始めたのがドラケンガルドという、順当に進めればストーリー的には2つ目の地域。その後エルヘイムでも一瞬滞ってしまったが、4つ目の地域に行くと1戦闘ごとの規模が拡大しており、地域解放までの戦闘システムはかなり短縮されたように思える。

また、こじんまりとした戦闘ではなく、かなり大きな盤面で戦うことになるので、それこそ先述したエースユニットだけでガンガン行く、ということをするとあっという間にスタミナが切れてしまうこともあった。若干の戦略性も、盤面が大きくなったことで変化が加わり、さらに解放できる地域も一気に広がったことでゲームに飽きる前に解放されるというのはよかった。

ストーリーは王道でキャラが多い故の駆け足も

最後にストーリーについて軽く触れておきたい。本作は登場キャラ・仲間になるキャラが非常に多く、アレインを除けば地域ごとにメインとなるキャラとのイベントなどが挟まれつつストーリーが進んでいく。

これを補完するように、各キャラ同士の好感度イベントもあるが、アレインは全員分との好感度イベントがあり、他のキャラも特定のキャラ同士での会話イベントがあったりもする。とにかく数が膨大だ。

一方で数が膨大故なのか、あっさりとした部分も多く感じられた。特にキャラが非常に多く、例えばメインヒロインのようなスカーレットでさえも、序盤を抜けると次に彼女がメインとなるのはかなり後半まで待つ必要があった。戦記物なのでしょうがない部分もあるかもしれないが。

いっそもう少しキャラクターを減らしてシナリオの厚みを増すというか、各キャラの出番を増やしてもよかったのかもしれない。傭兵出身などというキャラに関しては本当にそのくらいでしか出番がなかったし、名前を覚えるのもおぼつかなかった。個人的に最も不遇に感じたのがレックスで、幼馴染という立場なのにクロエのような見せ場がなく、キャラ性能も正直…という感じだったので、最初こそ弓ガードとして頑張って活躍してもらおうと思ったものの、他の強いキャラが仲間になるにつれて徐々に押し出されてしまった。ストーリーでも目立った活躍が思い出せない。俺高いところが好きなんだといって塔からアイテムをくすねてくることくらいだろうか。

不満というほどではないものの、ファストシナリオといってもいいような軽快さは個人的には気になる部分でもあった。ただ、現代のゲームと言う意味では受け入れやすいのかもしれないが、この部分に期待を抱くと肩透かしを食らってしまうかもしれないので注意してもらいたい。

総じて良作なSRPG

以上、本作をクリアまで遊んだ感想だ。素晴らしいグラフィックに自動ながらもつい遊んでしまうゲームシステムは楽しい。一方で、先述したようにストーリーやキャラクター同士の関係性という文脈では淡白な印象を抱く。

前作『十三機兵防衛圏』で知名度を上げたように思えるヴァニラウェアだが、細かい欠点があるとはいえ、しっかりと期待に応えた形にはなっただろう。ただし、自分で指示ができない戦闘に楽しみを見いだせるかどうかはかなり難しい。筆者はFFシリーズの中でも12はトップクラスに面白かった作品だと思っているが、あれもガンビットだけでなく個人で細かい指示出しもできた(すごい人は全自動でボスを倒したりしているが)。完全に事前で決着がついてしまうという点では合う合わないは明確にある。

グラフィックに関してもそうかもしれない。筆者は非常に好みではあるものの、ヴァニラウェアのグラフィックがすごいと思ったことがない、というような意見も目にした。この点も当然好みの範囲なので仕方がないだろう。

ただ、好き嫌いがはっきりと分かれるゲームかと言われれば、比較的好意的に捉える人が多いゲームだと感じている。とっつきやすさという点では『十三機兵防衛圏』よりも上だろう。

筆者としては、なにか琴線に触れる部分が少しでもあったのなら、本作は買いだ、といえる。グラフィックに関してもそうだし、ゲームパートもそうだ。ボリュームもタクティカルで遊んで50時間程度はいくのでしっかりと遊べる。あと個人的な話で恐縮だが、ヴァニラウェアには今後も素晴らしいゲームを作成していってほしいので、できればぜひ新品で購入してくれると筆者個人がとても嬉しい。DL版でももちろん可だ。というか遊ばなくても買って欲しい。ただのわがままです。

購入リンク(アフィリンク)

▶︎Switch版▶︎PS5版▶︎PS4版
モナークエディションは転売のようです。

DL版

▶︎Switch▶︎PS4&5
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